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2日目。
群れ為す平原。
〔始まりの左足〕より南へと歩を進める。
この一帯は、川の上に土砂が多い被さって出来たような感じの地形だ。
水源が近く、そういう点では安心していいだろう。
しかし、そういう季節なのだろうか。
やけに大きな不快な羽音が方々で聞こえる。
偽妖精。
妖精を真似た形状を持つ邪悪な生物。 ミミック。
基礎的な魔術、命術を操り、毒性の有る触手で獲物を襲う。
どうやら、今は奴らの羽化期のようだ。
卵を植え付けられた哀れな苗床から中身を食い荒らして、成長した偽妖精達が
わらわらと飛び立って行き、手近な獲物に群れで襲いかかる。
そんな光景にあちこちで出会う。
気を引き締めて、征こう。
俺が所属する2番隊はアムネジアの少女が抜けた代わりに
新たなメンバーが一人加わることになった。
セレナが脱出の際に怪我を負い、助けられたとのこと。
その縁か、共に探索へと挑むことになった。
鋼の身体に陽光の力と騎士道を宿す、人馬騎兵。
マシーネンケンタウル、ケイロン。
それが新たな仲間の名前。
以前、大乱戦にて一戦交えた相手だ。
四脚が生み出す尋常ではない機動力と正確無比な射撃の腕前。
彼が仲間として加わるのだ。これは、頼もしい。
ケイロン、アルクリーフ、そして俺を加えた3人。
新たなる2番隊。
今回の探索はこの3人で、戦い、進んでいくのだ。
アルクと言えば。吹矢を習いたい、と言ってきた。
どういう心境なのかと思ったが、護身用ということらしい。
軽くて、腕力が要らない……成る程、魔法使いには確かに相性は悪くない。
そんな尤もらしい言葉の後であの娘はこう言ったのだが。
「——エニシダさんが、
つかっている武器だから。
という、
ごめんなさい、そういう、あこがれの気もちも、
すこし、あります。
科戸風をあずかっていたときに、こっそり、
みんなにかくれて、かまえてみたりとか、していました……」
……なんとも、むず痒い感情だ。
だが、悪い気分では、無い。
魔法使いは集中的に狙われることがこれからは増えるだろう。
俺達がそうしていくように。
人狩りの連中は弓を携える者が多い、とも聞く。
そういった時に、俺の教えた吹矢があの娘を護る力になってくれれば。
そう、願う。
強く、願いを込めて、アルクへと伝えよう。
俺があの娘にしてやれる事は……そう、多くはないのだから。