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日記補完がつづくよ。めそ。
ぜんぜん意識してなかったけど
タイミングよかったなー
とかなんとかε(・ω・)з
21日目。
朔。
蒼い光は小さな宝石へと帰結し
小さな悪魔は冥き地へと還る。
この辺りではよく見かける魔物達を手際良く排除していく。
尤も、数が多ければこうはいかなかっただろう。
魔物達の残骸を見下ろしていると何か違和感を感じる。
熱を、仄かな熱がそこに在る。
幽かな、焔の気配を外ではなく、中に
己の内に新しい力の覚醒を感じる。
瞼を下ろし、胸に掌を置き、問いかける。
この力は、何だ。
お前は、そうかお前は……
———星火燎原。
遠くに在れば星のように小さく見える火も
近づけば広野を焼き払う焔に成る。
俺が手にしたこの火種も、いつか燎原の火に成るのだろうか。
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新月の夕暮れ、暗がりの道を独り歩く。
蒼い灯を供に。
小高い丘の上に目当てだった常緑の小低木を見つけ、近づく
この季節に咲いている中では好みの花だ。
ツンベルギア・エレクタ。
青紫の花と、白い花が秋風に揺れていた。
手を伸ばし、野に咲く花を手折り、束にする。神への供物。
本当は、花を手折って飾るというのは好まない。
けれど、今夜は特別だ。
灯火と花の夜祭り。
花の香りと灯火にて神を迎えるという祭りだ。
迎える神はそれぞれ各自が信じるものだと言うおおらかなものだ。
俺が迎えるのは———
甘い花と菓子の入り交じった香り、厳かだが賑やかな祭祀。
月のない夜を灯す炎達。
くらっと来そうだ。夢のような、幽世のような非日常的な空間。
神を迎える。その為の世界。
小さな祭司が高らかに祝詞を唱え上げる。
その荘厳な光景に目を、心を奪われる。
たいしたものだ。見た目で見くびるわけではないのだが。
中心の炎が一際、大きく燃え上がる。火の粉が爆ぜ、夜の空へと消えていく
———祈りは、届いたらしい。
俺が迎えるのは……
イフリート。
カダ族の守護神。炎の魔神イフリート。
貴方に祈りと日々の感謝を捧げよう。
俺の炎が未だ、消えることなく燃やし続けられていることに。
俺の父は祭司の家系だった。
時と砂に埋もれ人々の記憶からも消え行く一族の残滓。
永遠なる劫火。
その火種を、俺は確かに受け継いでいる。
この火種を伝える相手は、もう居ない。まだ、居ない。
俺で途絶えさせてしまう確率は高いだろう。
ずっと、見上げていた。
砂色の衣を羽織った貴方を。
香水臭い、指輪だらけの手で俺の頭を撫で、褒めてくれた。
数多の薬を造り出す魔法のようなその指先を俺はずっと誇りに思っていた。
娘を膝に乗せ、だらしないくらい顔を綻ばせて喜んでくれた。
命の水を追い続けるあの人は今もまだ、あの地で待ち続けていてくれるのだろうか。
俺はまだ、帰れない。
———だから。
伝えてください、イフリート。
貴方の息子はカダの火を確かに受け取ったと。
今はもう、独りではない……と。
そのすこし後方、雑踏に紛れ
黒髪の少女がその背中を暫し見つめていたが結局、声をかけることはなかった。
少し困ったような泣きそうな微笑みだけを残してゆらり、と夜の闇に消えた。
男はそのことに気付くことはなかった。或は、まぼろしだったのかもしれない。
息を吐き、腰を下ろすと背中越しに熱が伝わる。
周囲には見慣れた仲間の姿が在った。
花火を手にした子供たちが嬌声を上げながら脇を駆け抜けていく
夜が、更けていく———